シュガーレス

ポケティプロジェクト VOL.3
「シュガーレス」

 

作 やまもとけいぞう
演出 植田良子

 

出演 宮田忍、北條きみよ、植田良子
一宮正人(劇団冒険主義)
森裕美(劇団空想力学)
藤田和歩(高松西高校)

 

2003年1月26日 高松市生涯学習センター

 

風のない夕方
太陽がビルの向こうに消えて
都会のいろんなものが交じり合った

あの低いゴーっていう音が一瞬止むとき。
仕事が終わって
みんな両肩に乗っかった重い石を下して
ふっとため息をつくとき。

まるで奇跡のようなあの一瞬の静けさの中
あの音が聞こえてくる。

--突然姿を消した少女をめぐる人々の
「夢」の物語--

 

「シュガーレス」は、ポケティとしては
2本目のやまもとけいぞう作品であり、
初めて外部から俳優を招いた作品であり、
そして、私が初めて演出を手掛けた作品です。

その頃の私の耳にはいつも、物語に出てくる
屋上を吹き抜ける風の音が聞こえていました。
「風」はやまもとけいぞう作品における
重要なモチーフのひとつです。
「風」って一体なんだろう。
今でもその答えがわかったわけではありません。

ただ、「風」は、世界を吹き抜けると同時に
心の中に吹くものであり、
「風を感じる」ことで、観ている人が
物語を共有できるのではないかと考えています。

その考えは、私の演劇観の原点になっているように思います。
このときはまだ力不足で、十分に物語の世界を
立ち上げることができませんでしたが、
いつか、劇場に風を吹かせます。

 

(植田良子)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です